だが断る

なんか朝から母親が電話してきた。

例のお見合いの話。
いとこが知人の女性を紹介してくれる手筈になってたみたいなんだけど、先日いとこから電話が掛かってきた時に断っちゃったんだよね…。
特にそのことは母親に伝えてなかったんだけど、「どうするの?」みたいに嬉々として聞いてくるもんだから「あぁ、あの話?断っといたよ。」って言ったらすごい怒られた。

母や父の寿命の話やら、俺の年齢のことやら、言われなくても分かってる事をマシンガンのような勢いでぶつけられた挙句「だから結婚しないといけない」みたいな言われ方をされると無性に腹が立つ。
いや、俺なんかには勿体無い話だと思ってるよ。
でも相手が住んいる所と距離が遠すぎるし、そこで公務員やってる人生安定重視型の人間が今の仕事を辞めてまで東京に来るとは到底思えない。
当然、俺も仕事を辞めてまで結婚は選ぶつもりはない。
だから変な期待をさせるよりは最初から断るという選択をしたと話したらボロカス言われた…。

少し母と険悪なムードになったところで父が電話を代わった。

「元気でしよるか?仕事忙しいか?まだ暑いからちゃんと飯くえよ。」

気持ち的には母と同じ想いがあるのだろうけど、俺に気を使ってか見合いの話には一切触れて来なかった。
それが逆に心苦しい。
電話の向こうではまだ母が何かボヤいているのが聞こえたけど、身勝手なのは俺の方なのかな…とか、なんか色んな思いが交錯して怒り以上に自責の念の方が強くなってきていた。

たぶん、結婚って若いうちにさっさと済ませておくべきものだったんだろうな…。

結局のところ、人間の人生って短すぎるんだよ。
神様でも科学者でもなんでもいいから300年くらい生きれるようにしてよ。
そしたら人生設計のヘタな俺でも一回くらい結婚するかも知れないしさ。

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